五感
ふと何気ないことが気になったお話。
新型コロナウイルスの症状の一つに
「味覚障害」と「嗅覚障害」があるそうです。
五感のうち二つを失う可能があるなんて、なかなかに厄介です。
そんな昨今コンビニエンスストアで買い物をした時のお話。
いつものように買い物をした際に、
規定額以上の買い物をするとクジを引かせてもらえることがあります。
抽選箱の中に手を入れて、多くのクジから一枚取り出す。
皆さまも経験があることでしょう。
ただ今回は少し違っていて、
買い物をした後、1~6までの番号を一つ言うように指示され、
番号を言うとそれに対応する箇所から一枚渡されました。
クジを引くのではなく、クジを一枚選んでもらうという形です。
不特定多数の人が抽選箱に手を入れ、クジを引く行為が
感染のリスクを伴うという判断からの行動なのでしょう。
それ自体に不快感も疑問も何も浮かばなかったのですが、
ふと「触覚」が奪われたような気がしました。
感覚を奪われる恐怖でもなく、店の対応への不満でもなく、
現状に対する不信感でもなく、未来に対する絶望でもなく、
事象によって淡々と日常が変わっていくのだという思いだけが、
私の心になぜか暗い影を落としました。
良きにしろ悪きにしろ日々は毎日過ぎていき、
昨日と同じ日は二度と来ず、明日と同じ日は過去にはあらず。
それでもいままでずっと続くと思っていた日常が、
がらがらと音を立てて壊れていくような。
決して派手なことでも大きなことでもないのですが、
確実に変わっていく感じに恐ろしさを感じました。
私が恐れていた、ただそれだけのお話。