あまりにも残酷な話
どうにか読み終わった本
今年始まったくらいに購入しカバンに入れたまま数か月、
ようやく読む気になってページをめくりだしたら
止まることなく、一日で読み切ってしまった本です。
神様ゲーム、200ページほどのそこまで厚くない話ですが、
なかなかに不思議さと残酷さが絡み合います。
主人公は小学生の芳雄。彼の視点で物語は進んでいきます。
最近芳雄の住むまちで”ネコ殺し”の事件が発生しています。
クラスメートの可愛がっているネコもその被害にあいました。
いつその対象がネコから他のモノになるか、と
まちの人々は恐れております。
という点から始まるお話です。
酷い事件から物語は始まり、そのあともさらなる悲劇が連なります。
お話としても解決したような、疑問が大きく残るような、
そんな不思議なお話です。
あまりにも芳雄に降りかかる現実が残酷であり、
また現実と真実が相違ないわけではなく、
何が現実で何が虚構なのかわからぬまま、
ただただ現実だけが彼に重くのしかかります。
いや、本当に混乱しているのは読み手のこちらだけであり、
芳雄は全てわかっているのかもしれません。
最後の、本当に最後の文章がそれを物語っていたように思えます。
だとすればなおさらに芳雄には闇のような暗く重たく冷たい
現実が襲い掛かってきているように思えます。
ページ数も少ない本ですが、心へのボリュームと、
先を知りたくなるお話ですので、ぜひとも読んでみてください。
少しだけ辛い気持ちになるかもしれません。